解体工事の許可はこれで完璧!建設業許可と解体工事業登録の違いを徹底解説
- 中の人
- 8月31日
- 読了時間: 7分

建物の解体を検討する際、「どの業者に頼めばいいのか」「何か特別な許可が必要なのか」といった疑問が浮かぶのではないでしょうか。
実は、解体工事を行う業者は、工事の規模に応じて「建設業許可」または「解体工事業登録」のいずれかを取得している必要があります。
もし無許可の業者に依頼してしまうと、不法投棄や高額請求などのトラブルに巻き込まれるリスクも。
この記事では、解体工事を安心して進めるために不可欠な許可制度について、専門的な知識がない方にも分かりやすく解説します。
2つの許可の違いから、信頼できる業者の見分け方、関連する資格まで、この記事を読めば解体工事の許可に関する全てが分かります。
解体工事に必要な2つの許可「建設業許可」と「解体工事業登録」
解体工事を業者に依頼する際、まず知っておくべきなのが「建設業許可」と「解体工事業登録」という2つの制度です。
どちらが必要かは、工事の請負金額によって明確に分けられています。この違いを理解することが、適切な業者選びの第一歩です。
一目でわかる!2つの許可の違い早見表
まずは、2つの制度の最も大きな違いである「請負金額」に注目してみましょう。どちらの許可が必要になるのか、以下の表で簡単に確認できます。
解体工事業登録 | 建設業許可(とび・土工工事業または解体工事業) | |
対象となる工事 | 請負金額500万円未満の解体工事 | 請負金額500万円以上の解体工事 |
根拠法 | 建設リサイクル法 | 建設業法 |
登録・許可行政庁 | 都道府県知事 | 都道府県知事または国土交通大臣 |
500万円未満の工事なら「解体工事業登録」
ご自宅のカーポートやブロック塀、小規模な木造家屋や倉庫の解体など、税込の請負金額が500万円に満たない工事を行う場合に必要となるのが「解体工事業登録」です。
これは「建設リサイクル法」という法律に基づく制度で、解体工事で発生したコンクリートや木材などの資材を適切に分別し、再資源化(リサイクル)することを目的としています。小規模な工事であっても、環境への配慮が求められるため、この登録が義務付けられています。
500万円以上の工事には「建設業許可」が必要
一方で、ビルやマンション、鉄骨造の工場など、税込の請負金額が500万円以上になる大規模な工事を行うためには、「建設業法」に基づく「建設業許可」が必要です。
建設業許可は、一定以上の規模の工事を適正に施工できる技術力や経営基盤があることを証明するものです。
許可の種類としては、従来は「とび・土工工事業」に含まれていましたが、2016年からは専門の「解体工事業」が新設されました。
どちらかの許可を取得している業者であれば、500万円以上の解体工事を請け負うことができます。
Point なぜ500万円が基準なのか?
建設業法では、「軽微な建設工事」については、必ずしも建設業の許可を受けなくても請け負うことができると定められています。
この「軽微な建設工事」とは、建築一式工事の場合は1,500万円未満、それ以外の工事は500万円未満の工事を指します。
解体工事はこの「それ以外の工事」に該当するため、500万円が許可の有無を分ける基準となっています。
【ケース別】私の場合はどの許可が必要?具体的な事例で確認
ご自身の計画している解体工事で、どちらの許可を持つ業者を探せばよいのか、具体的な事例を基に確認していきましょう。
ケース1 木造2階建て住宅(延床面積120㎡)の解体
一般的な木造住宅の場合、解体費用は坪単価で計算されることが多く、総額が500万円未満になるケースも少なくありません。この場合、業者は「解体工事業登録」をしていれば工事を請け負うことができます。
ただし、庭の樹木やブロック塀の撤去といった付帯工事の内容や、アスベスト除去費用などが加わることで500万円を超える可能性もあります。
最終的な見積もり金額で判断することが重要です。
ケース2 鉄骨造3階建ての事務所ビルの解体
鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)造の建物は、構造が頑丈なため木造に比べて解体費用が高額になる傾向があります。
事務所ビルのような規模の大きい建物の解体では、請負金額が500万円以上になることがほとんどです。
このため、依頼する業者は「建設業許可(解体工事業またはとび・土工工事業)」を取得している必要があります。
ケース3 ブロック塀の撤去や内装解体のみ
リフォームに伴う内装解体や、敷地内のブロック塀のみの撤去といった部分的な工事の場合は、ほとんどが500万円未満で収まります。
したがって、この工事を請け負う業者は「解体工事業登録」があれば問題ありません。
信頼できる解体業者の見分け方と許可の確認方法
大切な資産に関わる解体工事だからこそ、信頼できる業者に依頼したいものです。ここでは、優良な業者を見分けるための3つのポイントをご紹介します。
ポイント1 許可・登録番号を必ず確認する
優良な業者は、ウェブサイトの会社概要や名刺、見積書といった書類に、必ず許可番号や登録番号を記載しています。まずはこれらの記載があるかを確認しましょう。
番号の形式は以下の通りです。
建設業許可番号 「〇〇県知事 許可(般ー〇〇)第〇〇〇〇〇号」
解体工事業登録番号 「〇〇県知事(登ー〇〇)第〇〇〇号」
※「般」は一般建設業、「特」は特定建設業を指します。
ポイント2 国土交通省の検索システムで確認する
記載されている番号が本物か、情報が最新かを確認するために、国土交通省が提供する検索システムを利用しましょう。
会社名や許可番号を入力すれば、正式に許可・登録されている業者かどうかを誰でもオンラインで調べることが可能です。
少し手間に感じるかもしれませんが、トラブルを避けるために非常に有効な手段です。
国土交通省 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム
ポイント3 解体工事の専門資格を持つ技術者がいるか
許可や登録は会社が持つものですが、実際に現場を管理・監督するのは技術者です。
特に「解体工事施工技士」という国家資格は、解体工事に関する高度な知識と技術、安全管理能力を持つ証です。
このような有資格者が在籍しているかどうかも、業者選びの重要な判断材料になります。
主な関連資格:
解体工事施工技士
1級・2級土木施工管理技士
1級・2級建築施工管理技士
技術士(建設部門)
要注意!無許可業者に依頼する3つのリスク

万が一、許可や登録を持たない無許可業者に依頼してしまった場合、安価に見えても最終的に大きな代償を払うことになりかねません。
不法投棄のリスク
解体で出た廃棄物を山中などに不法投棄されるケースです。廃棄物処理法では、排出事業者である依頼主(あなた)が責任を問われる可能性もゼロではありません。
追加費用の高額請求
「地中から障害物が出てきた」などと理由をつけ、工事の途中で不当な追加費用を請求されるトラブルです。契約内容が曖昧な場合に多く発生します。
ずさんな工事と近隣トラブル
騒音や粉じん対策が不十分で、近隣住民との間で大きなトラブルに発展する可能性があります。適切な安全管理が行われず、事故につながる危険性も高まります。
まとめ 正しい知識で安心・安全な解体工事を
この記事では、解体工事に必要な「建設業許可」と「解体工事業登録」の違いを中心に、信頼できる業者の見分け方まで詳しく解説しました。
最後に重要なポイントを振り返りましょう。
500万円未満の工事は「解体工事業登録」が必要
500万円以上の工事は「建設業許可」が必要
業者の許可・登録情報は見積書やウェブサイトで確認し、国のシステムでも照合する
解体工事施工技士などの有資格者がいると、より安心
解体工事は専門的な知識が必要な分野ですが、依頼主が正しい知識を持つことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して工事を任せることができます。
まずは複数の業者から見積もりを取り、その際に必ず許可の有無を確認することから始めましょう。
この記事が、あなたの安全な解体工事計画の一助となれば幸いです。
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